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[番外:革命の話をさせてくれ]

 「エルネスト・チェ・ゲバラ」がTシャツのデザインになって売れまくって久しいが、ワシの「革命」というのは、芝居熱の高まった中学生時代の読書「つかこうへい」の「飛龍伝」から単を発し、寺山修司の「若者よ、書を捨て町へ出よ」を通過し、「蜷川幸雄」「清水邦夫」の「なぜか青春時代」で、怒号のように流れる涙と一緒に完結する。

 「マルクス論」を片手に寮内にべちゃべちゃと貼られた赤ビラの説明をしてくれた、劇団時代の京大吉田寮生のお兄さんお姉さん方が、今どうしているのかとしみじみ思い出す。

 本当はワシの父の時代がその全盛であって、ワシにはちょっと程遠い「学生運動」。
 ワシの学生当時には「革命」という言葉は、それはそれは輝いて見えた。
 今はただの「懐古主義」な発想の一つで、何故あんなにアンダーグラウンドな思想を強く望んだのか自分でも分からない。

 父は当時の思想の強かった京都という場で、闘争の激しかった大学の法学部に行き、終わりかけていた学生運動の時代の波に飲まれた。
 一日中大映映画のエキストラでバイトして影ではしっかりと勉学に励み、ヘルメットを被って拳を突き上げ大声を張り上げた学内の長い小道を闊歩した。
 最後には何も無かったように、ボサボサの髪を七,三に分けて企業に就職する。
 彼もあの当時の典型的「革命の子供達」だった。

 父にしてみれば、ただの「青春」の一コマで大それた事でもなんでもない。

 こんな歴史を知ったのは最近の事だが、ワシにもしっかりとこの血が流れていたようで、アングラな事ばかりを好み、自分の意見以外のものは排除して来た学生時代。
 わしの中では「革命」とは、決して無関係なことではない気がする。
 ワシにはあの時代が羨ましいのだ。バカバカしい事に一身を投じられた最後の時代のように思える。

 チェ・ゲバラとは、カストロと一緒に1959年のキューバ革命を成し遂げた男。
 戦場においても非凡な指揮者であり、政治的にも特異な才能を発揮した男。
 長髪にベレー帽、ヒゲに戦闘服のまま経済使節団長として西欧各国や日本を歴訪し、一躍世界中の注目を集めた。
 当時、ハイスクールにいたジョン・レノンは「あのころ世界で一番かっこいいのがエルネスト・チェ・ゲバラだった」と回想している。

 なぜ、こんな事を思い出すのか。

 ソフマップに機械を売りに行って「モード学園」の傍のコンビニに寄った。
 コンビニの前で座ってたむろして、当然のようにタンを吐きタバコを踏みつけ笑い転げる生徒達。

 恐らく、若いモノ達の行動は昔と何一つ変わらない。
 そこに無いのは「革命」とよべるような、彼らの中の問題のような気がした。
【2008/10/15 18:54】 | Other | page top↑
[番外:寺山修司]
 ジュンク堂で立ち読みしていると「虚人 寺山修司伝」という単行本がでていた。
 カバー広告に「模倣で作り上げられた芸術家、寺山修司」と書いてあって、まだそんな事を言っている人がいるんだとボーと眺めてしまった。
 私は寺山修司に思春期にハマってしまった口なので、偏った意見になると思うが引っ掛かったので書いておこうと思った。

 私は、寺山修司主催の「天井桟敷」の横尾忠則さんのチラシデザインを見てデザイナーを目指した。「天井桟敷」と聞いて分る方なら、どれだけアングラなのかお分かりだと思う。傾倒していた私はその頃、思考そのものがどっかに飛んで行っていたので、高校も半分程しか行かなかったし、役者からデザイナーに転向しなければ今頃何をしていたのかは定かでない。
 
 寺山修司は1970年代「演劇ゲリラ」と呼ばれた。面白い試みの一つに「市街劇」というものがあった。上演前に客には地図が渡され、街の中の「舞台」を探すというもので、それは民家のちゃぶ台のある部屋だったり、銭湯だったり、役所の中だったり、倉だったり、途方もない構想で未だ日本で同じ試みは無いと思われる。

 彼は前々から「模倣犯」と言われている。確かに短歌や俳句、ギリシャ神話からの引用は、現在でもかなり言われていてその正当性には意見が分かれていると思われる。
 芸術をモノとして捉えた場合の「著作権」問題は避けては通れないと思うが、精神性の部分で書きたいと思うので、浅はかな論見である事はお許し願いたい。

 ある意味、芸術は模倣から始まると思っている。

 確かに寺山修司は盗用が多いのかも知れない、そこはよく調べている専門家に任せる。しかし寺山修司の世界の中ではそれらは混沌としたカオスの中に浮遊する一遍のチリのように思う。

 例えば、尊敬している人の作品の構想を少し真似てみる、そのエッセンスの注出によりオマージュとして一つの作品に仕上げた事は「絶対悪」だろうか?その作品を賞賛する事はおかしな事だろうか。果たして美しい物を美しいとシンパシーを感じ、それを模写する事が悪か?類似性を求める事は悪か?

 恐らくは一から十までの全くの盗用を自分の作品だと主張した時に「悪」が始まるのだと思う。
 わたしは「模倣だ模倣だ」と騒ぎ立てる方々の胸中が分らない。
 確かに度合い問題はある。しかし模倣=偽物芸術家のような流れは、それはあまりにも文化的素養が乏しくはないだろうか。

 先日仕事で、ある料理家の方とご一緒した際に、出されたレシピにかなり似たレシピがある事を指摘した編集者がいた。その責任感は素晴らしいが、私はディレクターとして料理家の彼女の言葉にとても感銘を受けてレシピ変更はしなかった事がある。
 「料理って世界中の人達が毎日毎日つくっているんです。私が美味しいと思っている料理を、今日同じ時間に考えついた人がいたとして果たしてそれは不自然でしょうか?それに私が作れば私の料理にしかなりませんので同じにはならないと自信を持っています」。
 わたしはこう捉えた。
 隣の誰かが作ったおいしい料理に自分なりの主張を加える、そこから脈々と受け継がれオリジナルエッセンスが加えられ、料理の文化が生まれたじゃないのかなと。
 芸術はどこか似てはいやしないのか?

 意見は色々あるから面白い。異論反論あるのは当然。
 一応その本は買ったが、まだ目を通していない。

(2005年9月12日)

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【2008/01/01 00:00】 | Other | page top↑
27.血の婚礼
■原作/フェデリコ・ガルシア・ロルカ
■台本・演出/白井晃■音楽/渡辺香津美■出演・森山未來/ソニン/江波杏子 他
総合★★★☆☆ 演出★★★★★ 役者★★★☆☆ 音楽★★★★★


 この芝居には参ってしまった。

 久しぶりに白井さんの演出モノを見たが、「遊機械全自動シアター」以降の、力の入った演出が素晴らしい。

 渡辺さんのギターも、白井さんの音楽に対する造詣の深さが伺い知れるし(かずみちゃんのライブに昔よく行ったなぁ)、歌も踊りも違和感も無く、渡辺さんの生演奏の起用には、演出家としての腕の高さが日本最高峰であるとも思える舞台。

 舞台美術もむしろシンプルに仕上げた事で、荒々しいアンダルシアの土を感じさせる。
 芝居の台本も舞台構成も生っぽい照明も、全て素晴らしい。

 森山君も頑張っているし、特にソニンちゃんの芝居の上手さは秀逸で、身のこなし、発声、表情、どれをとっても100点なのだが、どうしたものか。
 
 正直なところ、この二人が主役に合わない。
 芝居の上手さは秀逸で舞台はほんとうに素晴らしいのだ。
 だが合わない、彼らには合わないのだ。

 抗えない波に飛び込むだけの危うさと決意。
 守る立場と、押し出す立場。
 役の位置づけがココまでしっかりとあると、役者間でも憎悪の喪失をしないためにも、一人一人が相手役に対して的確な感情を持ち、且つ狂っている面も演じねばならない。
 今回の舞台の役者さんは、演じるのが難しかったと思う。

 森山君には女性を奪い取る男の土臭さが感じられず、奪ったのか人生に抗えなかったのか、とにかく若過ぎる。踊りが上手くて、男の猛々しさとダンスは別物。
 奥さん役の方との釣り合いがかなり不味く、彼が悪いというよりこの配役自体なぁとは思った。

 ソニンちゃんもとても芝居は上手いが、骨が太すぎるきらいがあり、どうみても森山君とは「離れられぬ運命」がそこにあったとは見れない。
 進めば進む程、しっかりした姉と無気になっている弟に見えて来て、こうなると舞台に集中出来ない。
 しかしながら、彼女はこの舞台以外で必ずや大成するに違いないので次が楽しみ。
 
 白井さんが配役を決めたのでは無いかも知れないが、コレばっかりは、芝居が役者を選んでもいい舞台だっただけに、ほんとうに勿体ない。
 
 果たしてどうして判断すればいいのか分からないが、命を掛けてその愛に興じるなぞ、いまの日本では死後に近い。この難しいテーマを無理無く超えた逸品でもあるし、今のコギャル達はこういう芝居を見た方がいい。

 どうしたものか。この舞台の評価はほんとうに難しい。
 別の配役で、もう一度見たいのが本音かな。

 しかしソニンちゃんには驚いた。
 江波さんにも負けない芝居力には、久しぶりに上手い芝居を見たなという感じ。
【2007/10/22 13:54】 | Other | page top↑
26.コクーン歌舞伎「四谷怪談」
●スタッフ 作/四世鶴屋南北  演出・美術/串田和美
●出演 中村勘三郎、中村扇雀、中村橋之助、坂東弥十郎、笹野高史、
中村七之助、片岡亀蔵、坂東新悟 ほか
総合★★★☆☆ 演出★★★☆☆ 役者★★★☆☆ 美術★★★★★


 襲名後初のコクーン歌舞伎となる中村勘三郎をはじめ、中村扇雀、中村橋之助、坂東弥十郎、笹野高史、中村七之助、片岡亀蔵、坂東新悟ほか豪華な顔ぶれがズラリと勢揃いした、この舞台。

 演出の串田和美さんといえば、わたしの記憶では「自由劇場」の串田さんという事になる。
 「もっと泣いてよフラッパー」「上海バンスキング」、吉田日出子の自由劇場。笹野さんは、自由劇場でサックスを吹いていたし、今人気の日向さんはなんだったか。当時、私が自由劇場に入りたい一心で東京に行くと喚いていた高校時代を思い出す。

 その串田さんが、94年、中村勘三郎(当時は勘九郎)に話を貰って、東京・渋谷のBunkamuraシアターコクーンで始めた「コクーン歌舞伎」。
 絶賛の嵐とともに回を重ねてもうかなりになる。7、8作はいったか。

 現代劇に歌舞伎を融合したのか、「優しくひもといた」というべきか、若い世代も引っ張って強力な求心力の元に今も続いている。

 わたしも何度か行った事があるのだが、作品その前に、BUNKAMURAに関しては桟敷劇場で全く言う事は無いが、前回の大阪公演、扇町公園に解説された芝居小屋には一つ言いたい。
 あまりに当時の時代小屋の模倣にこだわりすぎたのか、その木席の狭さに、体の大きいうちの主人は体を悪くしてしまい、首も寝違えてしまった。
 芝居を観に行って体を悪くするなどあってはならんのだ。これだけは苦言させて頂きたい。

 で、やっとこさ芝居の事だが、「南番」の20トンの水を使った迫力満点の初演ベースはとても壮大で素晴らしかったのだが。今回の新バージョン「北番」は音楽・配役・ストーリーまで新構成となり、南番では上演されないシーンも含めた新バージョン。
 私は前回の方が良かった。

 今回は気を照り過ぎ、現代劇により近くなるにつれ、歌舞伎調の芝居が空々しく見えて来て、やり過ぎの感が、どうしてもあった。

 そりゃ、舞台美術、転換、脚本に至るまで、すべて分かり易く、迫力あって申し分は無いのだが、歌舞伎を見ている者には、どこから、コチラも見る目を切り替えれば良いのか。
 笹野さんはそもそも歌舞伎役者では無いのだから、いたって普通に話されるのは良い事でそれを突っ込みたくはないが、勘三郎、七之助の主役メンバーの意味が薄れるというか、節回しを聞くだけで心地よい歌舞伎が、何か空々しく聞こえてくる時点で、そこだけは、なにか違うような気がする。

 ただ、場面ごとでは、斬新な歌舞伎とも見れるし、ボクシングのように点数をつけていくとすれば、大方がしっかりとした歌舞伎で、それも大勝ち状態なので、さすが勘三郎さんである。

 役者さんはどの方も適役であるし、ベースが歌舞伎であるので、私に評する事など恐れ多いが、一人だけ書くとすれば、特に七之助さんの活躍には注目したい。

 七之助君の騒動に混乱した加減もあった去年の挽回か、素晴らしい女役に、玉三郎さんの面影さえも観た気がする。
 余談だが、先日「鼓童」のTV放映をちらっと観たが、玉三郎さんは天才である。
 立っているだけで、アマテラスオオミノカミだと解るあたりは、凄いとしか言いようの無い事なのだが、七之助君にはこういう役者さんになる素質はあるように思うので、悲しげな憂いを秘めた役者魂をいつまでも大切にしてもらいたいものだ。

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【2006/08/04 20:40】 | Other | page top↑
25.梅ちゃんの青い迷宮
作・演出=食始
【キャスト】 梅垣義明
総合★★★★★ 演出★★★★★ 役者★★★★★ 美術★★★★★

 一言素晴らしい、そして美しすぎる。

 梅ちゃんは通算5回目。ワハハも含めると10回は超える程好きな訳なので、常連である。

 長らく観劇機会が無かったが、前回、京都のタクタクでのミニライブからおよそ5年。その前のサンケイホールの時には、龍角散、やら輪ゴムやら、水やら何やら飛ばされて喜ぶ部類の私達は、大ファンなのだ。
 にも関わらず、今回不覚にも開場に遅れるという失態で
「あんた達!遅れて来たんだから罰ゲームよ!上がって来なさい!!!」と梅ちゃんに呼ばれて非常にオイシかった。

 今回の客席への飛ばし物は、鈴に、花吹雪に、水の入った風船に、雨に、ちくわに、ペンライト、と盛りだくさんの中、死ぬ程笑って終わった。

 しかし梅ちゃんの歌や、ドラッグクイーンの衣装はホント素晴らしくなっていくのに、滑舌は毎度悪いよのね。でも面白いから許してあげる!

 ホントに死ぬ程笑える舞台なので、死にたい気分の人は絶対行くべき。

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【2006/07/27 00:33】 | Other | page top↑
最近、舞台を観ていない
 最後に「12人の優しい日本人」を観て以来、忙しさもあるのだが行きたいと思う舞台がナカナカ見つからない。
 歌舞伎以外では観劇出来ておらず、もう半年以上もたっている。

 今年はいい役者さんが、舞台と縁遠いような気もする。早く舞台を観に行って、ブログを復活させたいものだ。
 しばし、以前に寺山修司氏のことを書いたエントリーを再掲載でお茶を濁しておきます。

 武田真治さんの「身毒丸」の観劇記に関して、実に不思議なのだがいまだにこのエントリーに関してだけは反響があって、色んな方からメール頂だく。
 ファンの方々含め、演劇関係者の方々からの、様々な角度から感想を頂いて、本当に有り難いことだったなと思います。改めて感謝致します。

 今後は、7月に「梅ちゃんの青い迷宮」(チケット入手済み)。シアターコクーン「タンゴ冬の終わりに」を観るかな、大阪に来るまで待つかと思案中。「奇跡の人」は大竹しのぶさん以上の方が現れるとは思えないので観ないつもり。「あわれ彼女は娼婦」は、チケット購入を忘れ、すでに完売、などなど。

 梅ちゃんはもう何回目なんだろう、ワハハも入れると20回位。でもかなり久しぶりで、1999年に、輪ゴムを飛ばされ、豆を飛ばされ、ジュディオング20m版の羽に巻き込まれ、龍角散を頭から掛けられて以来の観劇です、嬉しいなぁ。
 ワハハは、発作のように突然観たくなる劇団。今回はどんな大暴れなのかしら。
【2006/06/19 16:19】 | Other | page top↑
22.コンドルズ "TOP OF THE WORLD"
コンドルズ=近藤良平を中心に特異な身体とユニークなキャラを持つ男性のみで結成されたダンスカンパニー。
総合★★★★☆ 演出 役者 美術の評価は今回なし

 コンドルズは評価するモノではないですね。「梅ちゃんの青い部屋」もそうだけど、とりあえず楽しむこと。
 ショーアップされたオフブロードウェイやオフオフブロードウェイの例えば「ブルーマンショー」などの観客巻き込み型のテンションに似ていて、ダンスの実力のある方たちがアグレッシブにそしてシニカルにダンスを見せたかと思うと、映像や人形劇やショートコメディーも風刺もふんだんに盛り込んで、これをあ〜だこ〜だというのは間違っているように感じるので、何も書けません(笑)。
 世界公演も好評だけど特にロサンジェルスではダフ屋まで出る盛況ぶりで「今の日本の縮図」とまで題されたそう。それは言い過ぎだと思うけど、世界に通じる舞台である事は確か、普通の男の人たちが学ラン着て踊る感覚が学園祭みたいでなんともカッコいいですね。私も向こうで公演されているコンドルズを是非観たいな。
 
 しかしここの主催の近藤良平サンは育ったのがペルーやアルゼンチンなどというだけに感覚が日本人離れしていて、ダンスが一種異様なんだけど、ずっと繰り返しやられると体内リズムをいじくられているよな、こっちまでもが踊りだしたくなる何かがありますね。寺山修司賞を取られただけのことはあるね。

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【2005/12/01 01:46】 | Other | page top↑
19.夜叉ケ池
演出:三池崇史 脚色:長塚圭史 美術:会田 誠(原作:泉鏡花「夜叉ケ池」より)
出演:武田真治 田畑智子 松田龍平 松雪泰子 遠藤憲一 きたろう 綱島郷太郎 涼 平 鈴木ユウジ 森川涼 蛭子直和 萩原聖人 丹波哲郎
総合★★★★☆ 演出★★★★☆ 役者★★★★☆ 美術★★★☆☆

 WOWWOW観劇が初めてだったので今頃書いて申し訳ない。

 泉鏡花の作品を考えてみると「草迷宮」「天守物語」「滝の白糸」と代表作が浮かぶが、「夜叉ケ池」はその中でもとりわけ地味で、反体制的な物語だけに舞台化があっても面白くないだろうなというのが観る前の意見
 泉鏡花と言えば、どの作品も絶世の美女が陰陽を持って登場するのだがまず、夜叉ケ池の主にあたる絶世の美女が誰がすんねんというのもあったし、どうやって表現するねんという感じで、村を村的に表したらその時点で終わっただろうなと思っていた。

 長塚圭史の脚色には恐れ入った。三池さんからのオーダーなのかは知らないが、素晴らしかった。父恭三さんも大変な名優だが劣らず、余計なセリフで表さない余韻の台本には身震いまでした。親の七光りかと思っていたら罰があたりそうな才能に出会った気がする。

 三池さんの演出も「ホントに舞台初めてなの」と思う所が大きく、それは視覚的な美術と衣装で80%はこの舞台は成功していた
 殆ど全員が二役の中、池の中を朱色で表し、村の体制的な部分では灰色であったり。カット割のような映画的なビジュアルだけの場面の考察も多く、明かりキッカケ音キッカケが殆どだったので、演劇初心者にもかなりメリハリのあった舞台だったと思う。
 役者の自意識を押さえて演出通りの芝居という感じがかなりしたが、それが逆に良かったように思う。

 役者さんは、丹波さんが良かったです!最初から台本を読みながらやることは、かなり想定していたので、それをさてどうするのかという事に興味があった。
 「役者とは台本の精である」という事を、身を持って表されたように思うのだが、台本を読みながら舞台に立っても役をちゃんと表していれば何の違和感もないという事なのだよね。台本を見ていないのに、「おいおい、芝居をしてるフリじゃない」と言いたくなる役者さんもいるので、その存在感には感嘆した。

 そして松雪さんが立派に役を成立していた事が素晴らしい、確か舞台初ですよね。キレイだという事は絶対条件だが、池の主としての気の強さも見せながら、可憐に恋いこがれている人がいる少女の心も溢れ出て、「この人がもしロミオとジュリエットとかやったら、きっと新しいだろうなぁ」と想いを馳せた。
 遠藤憲一さんの芝居の無骨さは貴重。感情を完全に押さえつける演技が出来る人は本当に少なくて、いるだけでかなりの威圧感がする様には、その道の第一人者と言っても良いかも。

 「身毒丸」の武田さんは見た事がないが、どんな舞台だったのか俄然興味が湧いてきた。今回の役の上では、あまり女性に対しての執着が見られない。
 それは芝居が上手い上手くないではなくて、女性に身を焦がすような想いが感じられず、今回「鐘を突き続けなければならない」使命感だけで役をやられたように思うのだが、おそらく逆なのでは?
 松雪さん演じる白雪が、愛しい人に会えない逆説を、鐘を突く夫婦が正統化する恐怖ということを感じさせるには、「愛」で結びついた夫婦の群像がそこに浮かばねばならないと思うのだが、土台この二人が夫婦に見えないのは何故??
 田畑さんに至っては、テレビの芝居と舞台の芝居のすみ分けが出来ていないように見えるので、一人だけテンションを落としてしまっていて見ているのがしんどかった。
 松田龍平くんは、松尾スズキさんの映画ではなんて良い役者さん!って思ってましたが、田畑さん同様、顔を歪めるだけで汲み取ってくれるテレビや映画とは違い、単に舞台に向いていないのでしょうね。

 この芝居、おもしろかった。非常におもしろかった。でも役者さんの舞台に対する取組み方のテンションは揃えて欲しいかな。

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【2005/11/14 15:43】 | Other | trackback(0) | comment(6) | page top↑
[番外:本田美奈子さん]

 本田美奈子さんが亡くなった事はショックだった、芸能人が亡くなって呆然としたのは初めてである。
 年齢が近い事もあったのだと思うが「この人は直る」とどこかで疑わなかったので「直らなかった」という事実に、自分が予期せず落ち込んだ事にも驚いてしまった。

 失礼ながら彼女のファンという訳では無かったし、ミュージカルは「ミス・サイゴン」をビデオでしか観た事がなかったが、舞台上の事故で足の指が4本ちぎれそうになっても「舞台に立つ」と言った彼女の気持ちは、自分も舞台に立っていた分、仲間が言っているようでとてもせつなかった覚えがある。
 心の底から舞台が好きでやってらっしゃる事はとても感じていたし、演技や風貌のか弱さから天使なような人だなぁと思った事もあった。
 恐らくは、彼女の歌声を神さまが気に入られて早めに呼ばれたのではないかと、不謹慎だがそう思う。
 小市民からも心からご冥福をお祈り致します。
【2005/11/07 00:00】 | Other | trackback(0) | comment(0) | page top↑
17.電車男
原作:中野独人「電車男」(新潮社刊)脚本・演出:堤幸彦 共同演出:大根仁 脚本:三浦有為子
出演:武田真治、優香(声のみ)、鈴木一真、モロ師岡、佐伯新、脇知弘、 千代將太、河原雅彦
総合★★☆☆☆ 演出★★☆☆☆ 役者★★★☆☆ 美術★★★☆☆

 
 WOWWOWで「世界の中心で愛を叫ぶ」の舞台と「電車男」の舞台が、今日続いて放映された。二本とも書こうかと思ったが「世界の中心で愛を叫ぶ」は書く程でもないのでやめておく。

 「電車男」については原作も映画もTVも何気に読んでいるし見ているしで、お腹いっぱい気味だったのに、舞台演出が面白くてついつい見てしまった。

 イントレを三階建てに両側に設置して計6人のネットの住人と、真ん中に据えられたスクリーン映像で、セリフをキーボード化していく。
 その演出と軽快な掛け合いだけでこの芝居は成功していたからもったいなかった。成功していたのは舞台演出の話。
 お芝居的には、流れっぱなしで展開が詰まり過ぎのテンション高過ぎの、なにがなにやらだったかな。

 武田さんの舞台での芝居は初めて見たが、これは舞台の演技として見るべきか否かは難しいところかも。
 しかし、武田さんは普通に男前なので、オタクのフリしてもかっこいいんですわ。そこが「嘘っぽい」かもなぁ…。

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【2005/11/03 23:57】 | Other | trackback(0) | comment(0) | page top↑
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